1.障害者週間

「障害者基本法」第9条では、毎年12月3日から9日までの1週間を「障害者週間」と規定している。この「障害者週間」は、同法の基本原則である、全ての国民が、相互に人格と個性を尊重し支え合う「共生社会」の理念の普及を図り、障害及び障害者に対する国民の関心と理解を一層深めることを目的として、我が国全体で実施するものである。

また、「障害者基本計画(第5次)」では、「障害者週間における各種行事を中心に、一般市民、ボランティア団体、障害者団体など幅広い層の参加による啓発活動を推進する」としており、障害者週間の実施に当たっては、国及び地方公共団体が民間団体等と連携して、障害のある人が社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に積極的に参加することを促進するため、毎年、全国各地で様々な障害者週間の趣旨にふさわしい障害者の自立及び社会参加等に関する多様な取組が行われている。

【内閣府ホームページ:https://www8.cao.go.jp/shougai/kou-kei/index-kk.html】

障害者基本法(昭和45年法律第84号)(抄)
(障害者週間)
第9条 国民の間に広く基本原則に関する関心と理解を深めるとともに、障害者が社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加することを促進するため、障害者週間を設ける。
2 障害者週間は、12月3日から12月9日までの1週間とする。
3 国及び地方公共団体は、障害者の自立及び社会参加の支援等に関する活動を行う民間の団体等と相互に緊密な連携協力を図りながら、障害者週間の趣旨にふさわしい事業を実施するよう努めなければならない。

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(1)障害者週間における具体的な取組の推進

内閣府では、「障害者基本法」の基本理念である、障害の有無にかかわらず、誰もが互いに人格と個性を尊重し支え合う「共生社会」の実現を目指し、同法に規定される「障害者週間」の趣旨を踏まえ、障害及び障害のある人に対する理解促進のための各種広報啓発事業等を行っている。

2023年度においては、次の取組を実施した。

○「障害者週間」関係表彰の実施

○「障害者週間」作品展の開催

○「障害者週間」ワークショップの実施

○「障害者週間」オンラインセミナーの実施

【内閣府ホームページ:https://www8.cao.go.jp/shougai/kou-kei/r05shukan/jyokyo.html】


ア 「障害者週間」関係表彰の実施

本表彰は、内閣府と都道府県・指定都市の共催事業として、全国から障害のある人とない人との心の触れ合い体験をつづった「作文」及び障害のある人に対する国民の理解の促進等に資する「ポスター」を募集し、都道府県・指定都市からの内閣府への推薦作品の中から入賞作品の決定及び「障害者週間」に合わせて入賞者に対する表彰を行うものである。

内閣府では、2023年12月6日に「障害者週間」関係表彰式を実施し、最優秀賞受賞者(作文:4名/ポスター:2名)に対して表彰を行った。


表彰式で挨拶をする加藤鮎子内閣府特命担当大臣(写真:内閣府)

加藤鮎子内閣府特命担当大臣から表彰状の授与を受ける「作文」(高校生区分)最優秀賞受賞者の佐野夢果さん(写真:内閣府)

「心の輪を広げる体験作文」及び「障害者週間のポスター」の最優秀賞受賞者と加藤鮎子内閣府特命担当大臣(写真中央)(写真:内閣府)

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① 対象・表彰種別等

「心の輪を広げる体験作文」表彰

 ▶対象(4区分):[小学生区分/中学生区分/高校生区分/一般区分]

 ▶表彰種別:最優秀賞(内閣総理大臣表彰) 各区分1名

  優秀賞(内閣府特命担当大臣表彰) 各区分3名

  佳作 各区分5名

○「障害者週間のポスター」表彰

 ▶対象(2区分):[小学生区分/中学生区分]

 ▶表彰種別:最優秀賞(内閣総理大臣表彰) 各区分1名

  優秀賞(内閣府特命担当大臣表彰) 各区分1名

  佳作 各区分5名

② 募集・応募等の状況

募集期間

2023年7月3日(月)~9月下旬(※都道府県・指定都市が定める日)

応募・推薦状況

区分心の輪を広げる体験作文障害者週間のポスター
都道府県・指定都市における応募総数都道府県・指定都市からの内閣府への推薦数都道府県・指定都市における応募総数都道府県・指定都市からの内閣府への推薦数
小学生1723257438
中学生8374637336
高校生51228
一般11526
合計1,63613294774

受賞者/入賞作品

【心の輪を広げる体験作文】

最優秀賞(内閣総理大臣表彰)
区分県・市氏名学校名学年作品名
小学生京都府師橋 ひより城陽市立今池小学校5年いっしょに遊ぼう。
中学生熊本県小田 莉子氷川町及び八代市
中学校組合立氷川中学校
2年全部理解して欲しいと思いません。
しかし、知って欲しいです。
高校生静岡県佐野 夢果静岡県立掛川東高等学校2年気づきから生まれる
誰もが暮らしやすい社会
一般富山県牧田 恵実闘い
優秀賞(内閣府特命担当大臣表彰)
区分県・市氏名学校名学年作品名
小学生岐阜県西田 江里菜美濃加茂市立古井小学校6年優しさに、ありがとう
大阪市冨士居 直都大阪教育大学附属平野小学校3年全国ろうあ者大会にさんかして
静岡市村松 亜美静岡市立清水小学校4年大ちゃんの薬
中学生埼玉県小島 さら坂戸市立若宮中学校1年優しさの連鎖
香川県坂本 篤宣高松市立山田中学校2年僕の未来を変えていく
さいたま市田中 ことみさいたま市立大宮東中学校2年僕のこれからの宣言書
高校生さいたま市青野 めぐみ開智高等学校3年知ることから
鳥取県鯉口 悠生鳥取県立鳥取聾学校 高等部3年未来を拓く
兵庫県中田 彩姫兵庫県立日高高等学校3年「すべての人」に安心と楽しみを
一般北海道大代 祥也自己発信 ~相互理解のために~
岩手県北條 乃愛一粒の光
大阪府吉冨 一博人生の宝箱

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佳作
区分県・市氏名学校名学年作品名
小学生愛知県市原 由莉乃犬山市立犬山西小学校1年わたしとはるくんとたっくん
茨城県鐘築 千花茨城大学教育学部附属小学校6年カナダのバリアフリーを発見
仙台市中野 莉央仙台市立北仙台小学校3年体けんして学んだ事
相模原市萩生田 哲汰相模原市立清新小学校4年ぼくの大切なお姉ちゃん
長崎県林 真己島原市立第一小学校6年僕たちはかわいそうじゃない
中学生大阪府生野 巧大阪狭山市立狭山中学校3年ある日 突然
静岡県太田 結月裾野市立富岡中学校3年「知らない」が生む壁
鹿児島県上垣 陽人出水市立鶴荘学園9年「吃音と本当の自分」
山口県川谷 麻絢山口大学教育学部附属山口中学校3年障がいを持っていない私が思うこと
滋賀県澤居 空近江兄弟社中学校1年しゅんちゃんはしゅんちゃん
高校生埼玉県石渡 那美埼玉県立戸田翔陽高等学校1年会話をする
愛媛県井上 聖陽愛媛県立川之石高等学校2年誰もが偏見を持たない社会へ
東京都進藤 璃子学習院女子高等科1年見えない障がいと向き合う
大阪府田中 裕子関西創価高等学校1年思いやりが社会を変える
山梨県宮沢 柚妃山梨英和高等学校2年優先席ってだれのもの?
一般和歌山県島田 真紀子わたしの宝物
沖縄県新城 元美人生の壁について
広島市髙木 美卯共生のためのほっこりする出来事
栃木県森 義夫「障害者スポーツに関わってから」
堺市森下 慧大僕の歩んできた道


【障害者週間のポスター】

最優秀賞(内閣総理大臣表彰)
区分県・市氏名学校名学年作品名
小学生浜松市釡堀 連浜松市立北浜小学校2年いっしょにやってみたいな
中学生千葉市山上 結希奈千葉市立おゆみ野南中学校2年やさしい手
優秀賞(内閣府特命担当大臣表彰)
区分県・市氏名学校名学年作品名
小学生熊本市山田 姫音熊本市立力合小学校4年私の大切なおともだち
中学生沖縄県髙橋 柚菜糸満市立高嶺中学校3年誰もが主役の明るい世界
佳作
区分県・市氏名学校名学年作品名
小学生相模原市秋山 蓮太郎相模原市立富士見小学校2年心と力をあわせてはしるんだ
岩手県佐々木 優妃盛岡市立飯岡小学校6年共に生きる
熊本県田中 蒼真八代市立千丁小学校6年手をとりあって共に歩こう
栃木県田中 花実小山市立大谷北小学校4年手話で咲かそう友情の花
富山県米田 佳純富山大学教育学部附属小学校2年みんなでいっしょにえがおのまち
中学生さいたま市岩﨑 汐良さいたま市立大砂土中学校2年カッコイイあし
愛知県近藤 杏柚一宮市立木曽川中学校3年仲間
埼玉県早坂 明日花草加市立新栄中学校3年いのちの輝き
山口県半田 夏光岩国市立岩国中学校1年もう私達、いつまでも友達だね。
広島市松田 みなみ広島市立福木中学校3年安心な生活がつづきますように…

【内閣府ホームページ:https://www8.cao.go.jp/shougai/kou-kei/nyushou/r05nyushou.html】


入賞作品の広報活用

内閣府では、「心の輪を広げる体験作文」及び「障害者週間のポスター」の入賞作品を、「障害者週間」等における全国的な広報に活用することとしており、障害及び障害のある人に対する国民への理解促進につなげている。

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▶「作文」「ポスター」の全入賞作品は、「入賞作品集」として冊子に収め、全国に配布、また、内閣府ホームページにも掲載
【内閣府ホームページ:https://www8.cao.go.jp/shougai/kou-kei/r05sakuhinshu/index.html】

▶「ポスター」最優秀賞受賞作品の中から1点を、「障害者週間」の広報用ポスターに採用し全国に配布するとともに、翌年度の「障害者白書」の表紙としても活用


2023年度のポスター最優秀賞受賞作品(「小学生区分」釡堀連さん)を採用した広報用のポスター(左)と入賞作品集(右)

令和5年版「障害者白書」(2022年度のポスター最優秀賞受賞作品を採用)


イ 「障害者週間」作品展の開催(都道府県・指定都市からの推薦作品の広報活用)

都道府県・指定都市から内閣府に推薦のあった「障害者週間のポスター」の入賞作品を含む全作品の原画及び「心の輪を広げる体験作文」の最優秀賞作品については、国民に対する障害及び障害のある人に対する理解促進の取組の一環として、「障害者週間」の期間中、「作品展」を開催して展示・公開している。


〈2023年度の実施状況〉

○日時 2023年12月3日(日)~9日(土) 各日10:00~20:00

○場所 羽田空港第2ターミナル5階 マーケットプレイス フライトデッキトーキョー及びスカイデッキ通路(東京都大田区)

【内閣府ホームページ:https://www8.cao.go.jp/shougai/kou-kei/r05shukan/main.html#poster1】

令和5年度「障害者週間」作品展(写真:内閣府)

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ウ 「障害者週間」ワークショップの実施

内閣府では「障害者週間」の実施に合わせ、体験をテーマに、障害の特性を知っていただくための疑似体験、障害者スポーツや障害のある人のための器具やバリアフリーに配慮された製品の実演や使用体験などのワークショップを開催している。


〈2023年度の実施状況〉

○日時 2023年12月3日(日)及び9日(土)10:00~17:00

○場所 羽田空港第2ターミナル5階 マーケットプレイス フライトデッキトーキョー(東京都大田区)

○主催 内閣府(4ワークショップ開催)

【内閣府ホームページ:https://www8.cao.go.jp/shougai/kou-kei/r05shukan/main.html#workshop】

令和5年度「障害者週間」ワークショップ(写真:内閣府)
スポーツ車椅子体験
パラスポーツVR体験
eスポーツ体験
ボッチャ体験


エ 「障害者週間」オンラインセミナーの実施

内閣府では「障害者週間」の実施に合わせ、障害及び障害のある人に関する理解を促進するため、オンライン配信により、障害者週間の趣旨にふさわしいセミナーを各団体等と連携して開催している。

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〈2023年度の実施状況〉

○配信期間 2023年12月3日(日)~28日(木)17:00

○配信場所 内閣府ホームページ

○主催 障害者関係団体等(6団体)

【内閣府ホームページ:https://www8.cao.go.jp/shougai/kou-kei/r05shukan/main.html#seminar】

主催団体等テーマ
実施概要
1公益財団法人
共用品推進機構
一人でも多くの人が使いやすくなるように工夫された「共用品」のおはなし
私たちは、日々、たくさんのモノに囲まれて生活しています。そしてその中に、障害のある人たちや高齢の人たちなどにとって助かる工夫が施された「共用品(きょうようひん)」があります。その一部をご紹介します。
2公益財団法人
日本障害者リハビリテーション協会
重度障害者が参加したデジタル図書(マルチメディアデイジー図書)製作のご紹介
-国連、持続可能な開発目標(SDGs)の「誰も取り残されない社会」の実現に向けて-
発達障害児者向けの小中学校の教科書、副読本等のデジタル図書(デイジー図書)を製作中です。全身性の障害により在宅療養を余儀なくされている方々のデイジー図書製作の参加も実現しました。誰も取り残さない(SDGs)への取り組みとして、製作体験談の報告及び有効な支援についての提言等も専門家から報告を頂きます。
3公益財団法人
日本盲導犬協会
視覚障害者の情報アクセシビリティと盲導犬
前半は、誰もが自分らしい選択と社会参加をするために、中途視覚障害者が情報を取得しやすい環境と配慮についてお知らせします。後半は、盲導犬に関する基本情報と身体障害者補助犬法の説明、盲導犬との生活を選択した視覚障害者の社会参加について、課題と対応例をご紹介します。
4公益社団法人
日本発達障害連盟
家族支援、こども支援、教育と発達障害に関する研究活動の実際
こどもの育ち、家族支援、インクルーシブについての発表、「障害基礎年金の勉強会」と「共生社会の実現に向けた理解啓発活動」についての発表、また、発達障害に関する研究大会や学術雑誌刊行、さらには研究成果の一般公開などの活動や、特別支援学校等におけるキャリア発達支援についてなどを構成4団体から発表します。
5社会福祉法人
全国盲ろう者協会
知ってください!盲ろう者のこと
ヘレンケラーという方をご存じでしょうか?目と耳の両方に障害を併せ持つ、盲ろう者。日本に何名もいらっしゃいます。そんな方たちについて、少しでも知ってもらえたらうれしいです。
6特定非営利活動法人
全国言友会連絡協議会
幼少期から繋がる吃音支援
吃音がメディアに取り上げられることも増え、その認知度は徐々に上がっています。しかし幼少期から大人にかけて、吃音の症状や問題が複雑になっていくこと等、詳細は十分に知られていません。吃音がありながらも自由に話していた子が、どのように悩みを深めていくのか。どのような支援ができるのか解説いたします。

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(2)障害者週間における具体的な取組の推進(国(各省庁等)・都道府県・指定都市における取組)

内閣府では、「障害者週間」の全国的な展開を図るため、国(各省庁等)及び都道府県・指定都市と連携・協力を図り、「障害者週間」の実施に合わせた取組を推進している。

全国で「障害者週間」に合わせて行われる行事や取組については、国民が多くの行事等に参加し、障害及び障害のある人に対する理解を深めることができるよう、内閣府のホームページで公開している。

○国主催行事:69件

○関係機関・団体主催行事:25件

○都道府県・指定都市主催行事:1,816件

※上記件数は、2023年12月時点で内閣府に登録のあったもの。

【内閣府ホームページ:https://www8.cao.go.jp/shougai/kou-kei/index-kk.html#kanren】