二つの家が街の一角をなしていました。
そのうち片方が前にせり出しています。
少女はそこに座って小さくなりました。
引き寄せた少女の小さな足は体にぴったりくっつきましたが、少女はどんどん寒くなってきました。
けれど、家に帰るなんて冒険はできません。
マッチはまったく売れていないし、たったの一円も持って帰れないからです。
このまま帰ったら、きっとお父さんにぶたれてしまいます。
それに家だって寒いんです。
大きなひび割れだけは、わらとぼろ切れでふさいでいますが、
上にあるものは風が音をたてて吹き込む天井だけなのですから。
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